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工場のデータからGRIとCDPの排出量報告を作る方法

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GRIやCDPに向けて工場の排出量を報告するには、一年を通じて三つのものを管理しておく必要があります。実際の対象期間で記録した活動量データ(エネルギー、燃料、生産量、インシデント)、有効期間を付けた排出源ごとの排出係数、そして各数値を裏付けるエビデンスです。これらがそろっていれば、スコープ1、2、3の合計を、再現・検証できる形で計算できます。DBR77 IRIS ESG Reportsでは、GRI、CDP、またはカスタムレポートを選べます。SASB、TCFD、CSRDは「利用不可」と表示され、レポート生成機能にも、ESRSはモデル化していないと明記されています。

年次報告の作業は、多くの工場で毎年同じところから始まります。スプレッドシートと光熱費の請求書の束、そして「3月にラインはどれだけ動いたか」という生産部門への問い合わせです。

GRIとCDPが工場に求めるもの

GRI 305:大気への排出 2016には七つの開示事項があります。工場のデータが最も直接かかわるのは、温室効果ガス(GHG)に関する305-1 直接的なGHG排出(スコープ1)、305-2 間接的なGHG排出(スコープ2)、305-3 その他の間接的なGHG排出(スコープ3)と、305-4 温室効果ガス(GHG)排出原単位、305-5 温室効果ガス(GHG)排出量の削減です。

GRI 305には、データの集め方を左右する点が三つあります。

開示事項求められる内容工場データにとっての意味
305-2 スコープ2ロケーション基準の値と、契約証書がある場合はマーケット基準の値電力は2通りの方法で計算できる形で記録しておく
305-3 スコープ3算定に含めたカテゴリと活動スコープ3の記録には、合計だけでなくカテゴリが必要
305-4 原単位原単位の比率と、分母として選んだ組織固有の指標排出量の横に生産量か売上高が必要

スコープ2の二つの方法は、GHGプロトコルに基づいています。GHGプロトコルのスコープ2ガイダンスは、契約証書を利用できる市場で事業を行う企業は、スコープ2排出量をロケーション基準とマーケット基準の2通りで報告しなければならないとしています。GHGプロトコルは、スコープ3の15カテゴリそれぞれの算定方法も示しています。

GRIは改訂の途中にあります。GRI 305の文書自体に、開示事項305-1〜305-5はGRI 102: Climate Change 2025(気候変動)に置き換えられると記されており、適用開始は2027年1月1日です。次の報告がこの日以降になる場合は、GRI 102を前提に計画してください。

CDPも変わりました。2024年に、気候変動、フォレスト、水セキュリティの各質問書は、13のモジュールからなる企業向けの統合質問書に一本化されました。モジュール7が気候変動、モジュール9が水セキュリティを扱います。

説明用の例:ライン3で製造オーダーを流している間に、ラインのメーターが1,840 kWhを記録します。

アニメーション図:工場データからGRIとCDPの排出量報告までの流れ

工場の各数値はどこから来るか

必要なデータの大半は、すでに工場の中にあります。ただ、置き場所はばらばらで、記録の期間もそろっていません。

データ主な入手元よくある問題
電力、ガス、蒸気電力・ガスの取引用メーター、請求書請求月と検針日が一致しない
製造オーダー別、ライン別のエネルギーラインのメーター、製造オーダー消費量を製造オーダーの時間帯に結び付ける人がいない
車両とボイラーの燃料燃料カード、納品書単位がばらばら(リットル、kWh、GJ)
漏えいと緊急時の放出HSEのインシデント報告報告に数量がなく、合計に入らない
廃棄物と水委託業者の報告、水道メーターリサイクル率が数か月遅れて届く
排出係数サプライヤー、国の温室効果ガスインベントリ、データベース有効期限の切れた係数がスプレッドシートに残る

データを一年中そろえておくための4つのステップ

  1. 最初に排出係数のカタログを作ります。排出源とスコープごとに係数を一つ、単位あたりのkg CO2eで、有効期間とともに登録します。カタログがなければ、自動計算は何も始められません。
  2. すでに計測しているデータ源をつなぎます。エネルギーメーター、製造オーダー、環境インシデントのデータが、計測と計測の間の実際の期間について、台帳に直接入るようにします(統合全体の進め方はMES、WMS、QMS、CMMSをすべて置き換えずに統合する方法をご覧ください)。請求書の月次合計を手入力するのは、ほかに手段がない場合だけです。
  3. 各数値のそばにエビデンスを置きます。請求書、証明書、メーターのレポートを、それが裏付ける数値に添付し、有効期限があれば設定します。確認が済んだ記録には検証フラグを立てます。同じ考え方は、AIを含む工場の判断について、監査に耐える記録を残す方法にも当てはまります。
  4. 報告の前に、集計から外れたものを確かめます。換算できない単位の計測値、シミュレーションやテストの計測値、数量のないインシデントは、黙って捨てずに一覧にしておきます。

例(説明のための架空の例):ライン3で製造オーダーを流している間に、ラインのメーターが1,840 kWhを記録します。カタログにある電力の係数が1 kWhあたり0.6 kg CO2eなら、製造オーダーを完了した時点で1,104 kg CO2eの算定済みの記録ができ、係数と活動量データもその記録に保存されます。HSEで数量と係数を入力してクローズした冷媒漏えいからは、スコープ1の記録が追加されます。数量のない2件目の漏えい報告はインシデントのままで、合計には何も加わりません。年度末には、どの数値も製造オーダーかインシデントまでさかのぼれます。

IRIS ESGが対応する範囲と対応しない範囲

ESG報告のためにツールを選ぶ前に、自社が採用している報告基準と照らし合わせてください。ESG Reports画面で選べるフレームワークは、GRI、CDP、Customです。IRIS ESGの場合は次のとおりです。

要件現在のIRIS ESG対応方法
工場データからのGRIレポート利用可能GRIと期間を選ぶ
CDP利用可能。製品ドキュメントには設問C4、C6、C8、C10、W1.2が記載されているエクスポートを使う前に、これらが現在のCDP質問書のどこに当たるかをDBR77に確認する
SASB、TCFD、CSRD「利用不可」と表示。ESRSはモデル化されていない(レポート生成機能に明記)これらの基準には別のツールかアドバイザーを使う
排出原単位(GRI 305-4)計算しない。売上高と生産量を分母として保存していない原単位はIRISの外で計算する
スコープ2のロケーション基準とマーケット基準スコープごとに値は一つで、算定方法別の内訳はないもう一方の方法による値はIRISの外で計算する
GHGプロトコルの15カテゴリ別のスコープ3カテゴリは記録ごとの自由記述15カテゴリに沿った名称の一覧を決めておく
国別、法人別の内訳記録に紐づくのは工場だけ法人別の集計はIRISの外で行う
第三者保証報告書含まれない。あるのは記録ごとの検証フラグだけ保証機関と相談して進める
取締役会の監督体制、気候関連リスク、シナリオ分析の記述収集しない報告書本体に記述する

IRISのカスタムレポートに入るのは、作成者が書いたセクションだけです。IRISはそれらをデータから導き出さず、どの基準への準拠もうたいません。

CDPについては注意が必要です。2024年以降、質問書は統合されています(モジュール1〜13)が、IRISのドキュメントは気候変動と水の個々の設問を参照しています。実際に提出する質問書との対応をDBR77が確認するまでは、CDPの出力を下書きとして扱ってください。本記事は、準拠を約束するものではありません。

CSRDに基づいて報告する場合、IRIS ESGは工場レベルの活動量データ、係数、エビデンスを保持できます。ただし、ESRSのレポートを作成することも、その網羅性を示すこともできません。

DBR77 IRISでの仕組み

IRIS ESGは、排出量(スコープ1、2、3)、エネルギー、廃棄物、水の台帳を持っています。排出量の各記録には、排出源、期間、算定方法(計算または実測)、使用した係数、活動量データが、検証フラグとともに残ります。排出係数のカタログは、アプリケーションの中でスコープ、排出源、カテゴリ別に、有効期間を付けて管理します。

IRIS IoTのエネルギーメーターは、計測と計測の間の実際の期間の消費量を登録します。IRIS MESで製造オーダーが完了すると、IRIS ESGはその製造オーダーの時間帯に使われたエネルギーを合計し、有効な係数を掛けて算定済みの記録を作成します。この記録は重複して作られないようになっています。IRIS HSEでクローズされた環境インシデントがスコープ1排出量を追加するのは、報告者が数量と係数を入力した場合だけです。Wh、kWh、MWh、GWh、MJ、GJ以外の単位のエネルギー記録は合計から外して別に数え、シミュレーションのフラグが付いた計測値は、報告するすべての数値から除外されます。

エビデンスファイルは特定の指標に紐づけられ、ステータスと有効期限を持ちます。データへの変更はESGの監査ログに記録されます。レポートのステータスが「公開済み」に変わるのは、文書が実際に作成された後だけです。ほかの画面では、期限の30日前に警告が出る環境許可、ESG目標、ダイバーシティ指標(GRI 405)、そして実測の消費量だけを使うEnergy Advisorを扱います。工場の指標をどう定義し、誰が担当するかについては、工場のリアルタイムKPIシステムの作り方をご覧ください。

よくある質問

IRISでCSRDの報告書を作成できますか?

いいえ。CSRDは「利用不可」と表示され、レポート生成機能にも、ESRSはモデル化していないと明記されています。IRIS ESGは工場レベルのデータとエビデンスを保持でき、他のツールで作成する報告書の基礎データとして使えます。

IRISはスコープ2を2通りの方法で計算しますか?

いいえ。スコープ2の値は一つだけです。グリーン電力の契約などの契約証書がある場合は、マーケット基準の値をIRISの外で計算してください。

導入初日から自動で計算されるものはありますか?

排出係数のカタログを登録するまでは、何も計算されません。カタログが空のままでは、製造オーダーが完了しても排出量の記録は作成されません。

2027年からのGRI 102はどうなりますか?

GRIによると、2027年1月1日からGRI 102が開示事項305-1〜305-5に置き換わります。どのバージョンのレポート生成機能を使うか、GRI 102への対応をどう計画するかは、DBR77と相談して決めます。新しい基準での報告を予定する前に、お問い合わせください。

まとめ

まず、排出係数のカタログと、すでに計測しているデータ源を一つ用意してください。多くの場合、それは主要な電力メーターか、完了した製造オーダーに紐づくラインのメーターです。次に、各数値にエビデンスを添付し、集計から外れたものの一覧を残します。ツールを選ぶ前には、実際に採用している報告基準と照らし合わせてください。IRIS ESG ReportsではGRI、CDP、カスタムレポートを作成でき、SASB、TCFD、CSRDには対応していません。これらの手順を工場全体の仕組みとどうつなげるかが報告を左右するなら、次はプラント・オペレーティング・システムのビジネスケースの作り方をお読みください。

出典